【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「先ほどから探していたんだ。まさか君はこれを……?」
私はこくこくと頷いてみせる。
すると、前髪をくしゃりと掴んだ会長様は「そうか」と声を沈ませた。
「悪かった。わざわざ届けてくれたというのに」
「い、いえいえ! 校則違反は事実ですから……」
「急いで来てくれたんだろう? これがないと、俺が困ると思って」
「えぇと、出来るだけ急ごうとは思いまして……」
「ありがとう」
ふっと緩んだ会長様の目元に、今度は私が驚いた。
「しかし困ったな。違反といっても、元を辿れば俺の不注意が招いたことだ」
一瞬見せた優しい表情はすぐにいつもの生徒会長の顔に戻る。