【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「西宮」
……と、その時だった。
騒がしい正門前付近で不意に誰かに呼ばれた。
律くんとは違うとても低い声。
くるんと右側へと顔を向ければ、そこには黒いスクールコートに身を包んだ会長様が立っていた。
「ヒェッ!!会長じゃん、やばっ!」
「目が合ったら運の尽き!逃げろ〜!」
ちょっぴりメイクをした女子が渾身の走りを見せて逃げ去っていった。
「声に出したら聞こえるってわからないのか」
……と、逃げていった女子の後ろ姿を見ながらぼやいた会長様の瞳は、すぐに私へと戻された。
「お、おはようございます!」
「おはよう。今日の放課後のことだが、少しいいか?」