【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
何も言えなくなって、トクトクと響く胸の音だけが大きくなっていく。
「そろそろ自覚したら?」
薄闇の中、律くんが溜め息を落とした。
呆然と立ち尽くす私の目の前まで来ると、すくうように私の髪に触れる。
「俺の世界のど真ん中に居座って、俺のこと振り回してるって」
ドキッ……。
私が律くんの世界のど真ん中にいる。
心の中で繰り返せば、体温はぐんっと上がっていった。
私の世界の真ん中にも律くんがいて、朝だって眠る時だって、夢の中でさえも律くんのことばかりだ。
そうやって同じことを思っているんだってわかったら、幸せすぎて走り出してしまいそうになる。