【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
あ……。
律くんが手遅れと言ったら手遅れなのだ。
私の唇は塞がれていて、再び律くんの熱が流れ込んでくる。
「んっ……、」
僅かに離れた唇はすぐにまた押し付けられて、何度もキスを落としてくる。
「その顔ズルいって」
なんて言ってくる律くんの方がズルい。
散々塩を振りまいたその後は、とびきり甘い顔を見せるから。
溶けてしまいそうなキスをくれるから。
「好き」とは言わないくせに……。
「もっかい目閉じて」
声のトーンは変わらず低くて、やっぱり無気力な瞳で私を見つめる。
今日こそは、「好き」って聞きたかったのに。
──結局、私の負け。