【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
好きだから会いたい
待ちにまったバレンタイン当日!
ついに決戦の時がきた!
会長様に見つからないようにトートバッグの中に忍ばせたクッキーを何度も確認して正門をくぐった。
もちろん校則違反はしない。
だから、帰り道に渡そうと思っている。
……そう思っていたのに。
「おはよーー!」
教室に入るや否や、玲来ちゃんと矢坂くんが二人仲良くこちらへ振り向いた。
「き、来たぞ……」
「いよいよ来たわね……」
どうしたんだろ、二人とも。
なんだか不穏な空気が流れている気がした。
「あっ! 二人は私が何を作ったのか知りたいとか!? 実はね、チョコチップク……」
「悲報。律くんは風邪でお休みです」
「……」
私の中で時が止まる。
トートバッグをぶら下げたまま。