【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「玲来ちゃん……これってバレンタインのチョコレートなんだよね?」
「そうよ? どう見てもチョコじゃないの!」
間違っていない。
どこから見てもホワイトチョコレートだ。
四角くて大きい。
だけど、問題はそこじゃない……。
ホワイトチョコレートには“任侠”の文字。
「これって……」
「うん……デコペンで書いたの……」
そんなことは聞いていない……。
モジモジと玲来ちゃんらしくない姿を見て、私はもう突っ込むのを止めた。
「玲来、これ……まさかだとは思うが、俺宛てじゃなくて……」
「あ、うん。実はお父様に……ほら、わたしいつも手土産持っていかなかったから」
「手土産……まだ気にしてたのか……」
嘘だろ、と漏らした矢坂くんが絶望する。