【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


「玲来ちゃん……これってバレンタインのチョコレートなんだよね?」


「そうよ? どう見てもチョコじゃないの!」


間違っていない。

どこから見てもホワイトチョコレートだ。

四角くて大きい。

だけど、問題はそこじゃない……。

ホワイトチョコレートには“任侠”の文字。



「これって……」

「うん……デコペンで書いたの……」


そんなことは聞いていない……。

モジモジと玲来ちゃんらしくない姿を見て、私はもう突っ込むのを止めた。


「玲来、これ……まさかだとは思うが、俺宛てじゃなくて……」


「あ、うん。実はお父様に……ほら、わたしいつも手土産持っていかなかったから」


「手土産……まだ気にしてたのか……」


嘘だろ、と漏らした矢坂くんが絶望する。
< 239 / 391 >

この作品をシェア

pagetop