【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


「冬夜の分もあるのよ?」


「マジで!?」


はい、と取り出したそれはホワイトチョコレートのなんと1/4サイズ。


「……俺にはバレンタインなんてなかった」


「え? どしたの? あれ、冬夜ー?」


結局、私と矢坂くんにバレンタインなどなかったのだ。

私達は放課後を迎えるまでの間、


「西宮、生きてりゃ辛いこともあるけど強く生きような……」


「うん……律くんを思うことを糧に頑張るから!」


* * *


はぁ……。

女子のみんなはこれからバレンタインのチョコレートを渡しに行くのかな。

弾んだ声で話していた女子に囲まれながら、一人寂しく帰路へとついた。
< 240 / 391 >

この作品をシェア

pagetop