【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


私だったらって考えただけで嫌だ。

律くんが離れていくなんて……。


「こんなに好きなのに……」


「うむ。今のは気持ちが入っていてなかなかよかった。もう一度やってみよう」


「……」


それから私はステージが使える時間ギリギリまで練習をした。


時折、“街中で喧嘩をするカップル”の役として登場する玲来ちゃんと矢坂くんのホントの喧嘩の仲裁なんかもして。


終わる頃にはどっと疲れていた……。


「次の時間まで空くから休憩すれば?」


「り、律くん……いたの!?」


ステージを降りたところに座っていた律くんに声をかけられた。


「さっきからいるけど」


「てっきり保健室でお昼寝してるかと思ってて……」


「そうしたいとこだけど、お目付け役がうるさいからな」


気だるげな瞳が私の背後へと向けられた。
< 292 / 391 >

この作品をシェア

pagetop