【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


「……まさか、私のため……?」


「実際、何度かうっかりしちゃって絆創膏切らしたこともあってさ〜。そっからずっと疑われてんのよねぇ。自分の目で確かめないと納得しないから、羽川は」


律くんが私のことを心配して……?

どうしようもなく落ち着きがなくて、転ぶのも自業自得で。


──“転ばないようにね”


いつかの律くんの声が蘇って、胸に熱いものが込み上げてくる。


「私……転ばないようにする。山神様に言われたように、もっと落ち着きある行動を心がける……」


「うんうん。そうすりゃあ、羽川の心配も減って、サボりも減る! 一石二鳥よ!」


「ううっ……大好きぃ……」


「言う相手違うし……つか、鼻水つけんな……」


奥歯を噛んで堪えても、鼻の奥がツンと熱くなって、蒼ちゃん先生に背中をさすられながら泣いてしまったのだった。


律くんは、やっぱり優しい人だよ。
< 310 / 391 >

この作品をシェア

pagetop