【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「……まさか、私のため……?」
「実際、何度かうっかりしちゃって絆創膏切らしたこともあってさ〜。そっからずっと疑われてんのよねぇ。自分の目で確かめないと納得しないから、羽川は」
律くんが私のことを心配して……?
どうしようもなく落ち着きがなくて、転ぶのも自業自得で。
──“転ばないようにね”
いつかの律くんの声が蘇って、胸に熱いものが込み上げてくる。
「私……転ばないようにする。山神様に言われたように、もっと落ち着きある行動を心がける……」
「うんうん。そうすりゃあ、羽川の心配も減って、サボりも減る! 一石二鳥よ!」
「ううっ……大好きぃ……」
「言う相手違うし……つか、鼻水つけんな……」
奥歯を噛んで堪えても、鼻の奥がツンと熱くなって、蒼ちゃん先生に背中をさすられながら泣いてしまったのだった。
律くんは、やっぱり優しい人だよ。