【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


「えと、もしもだけど……私が記憶をなくしたら……律くんは、どうするのかなって」


ふと思ってしまったことを素直に聞いてみた。


「劇の話? だったら別れるんじゃない?」


「………別れる? 嘘……そ、そんなぁ!」


練習中の会長様を律くんだとして想像してみると、魂が抜けていきそうだった。


「……だから劇の話だろ」


「私は、そんな悲しいのやだなって……」


「そういう結末を用意した山神に言えば」


すっと立ち上がった律くんは「集中しろって方が無理だろ」と呆れ口調で去っていった。


あ、あんまりだ……!

劇の話とはいえ、山神様の実話じゃないといえ、別れるなんて!


塩! 塩! 塩!


律くんの背中に向かって、私は塩を連呼した。
< 316 / 391 >

この作品をシェア

pagetop