【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「いいな、東雲さんは。小さい頃の律くん……絶対可愛いもん。羨ましい……っ、」
「……も、もういいわよ! 話が通じないんだかバカなんだか知らないけど、ずっとそうやって言ってれば!」
東雲さんはものすごい剣幕で私をどつくと、
「どうせ好きだなんて言われたこともないくせに……!」
捨て台詞を吐いて階段を降りていった。
ぶつかられた肩が痛い。
あと3センチずれてたら肩が脱臼するレベルのパワーだった……。
可愛い顔して怪力なんて!!
「……っ、」
……だけど。
肩よりも最後に振り下ろされた言葉が胸に刺さって、ずっと痛かった。
重くなった足取りで、私は律くんの待つ教室へと向かった。