【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
* * *
教室の後ろのドアの前まで着くと、律くんの姿が見える。
視界に映すだけで、トクンと鼓動が揺れる。
あれ?
珍しい……律くんが起きてる!?
てっきりいつもみたいに机に突っ伏しているものだと思っていた。
なのに、台本を開いて目を落としている。
遠目に見た律くんの横顔は真剣さを含んでいた。
口では補欠だから覚えてないって、からきしやる気のなかった律くんが……。
「……っ、律くーん! 遅くなってごめんね!」
出来るだけ自然に声をかけながら、律くんの席まで駆け寄った。
「練習終わり?」
「うん! もう帰れるよ! 暗くなっちゃったのに待っててくれてありがとう……」
急いでカバンを手に持って、台本を押し込んだ。