【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「なんかあった?」
一瞬、私の手が止まった。
だけど、顔に出ないように注意を払って振り返る。
「なにも、ないよ? ちょっと疲れただけ……かな!」
ヘラっと笑ってみせたけれど、律くんの探るのような瞳が向けられている。
「元気ないのはそれが理由じゃないだろ?」
「……、」
何か言わなきゃって言葉を手繰り寄せても、ひとつも出てこなかった。
お見通し……。
「どうした?」
くしゃりと、固まることしか出来ない私の頭に手を乗せる。
悔しいくらいに、いつだって律くんは私のことをわかってる。
それが嬉しいのに、今はなんだか悲しくて。