【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
あっ……と思った時には遅くて。
胸がギュッと苦しくなって、喉が熱くて。
「芽衣?」
涙が溢れそうになった……。
そんな優しい声で名前を呼ばないでよ。
「私、一度だって律くんから……っ、」
「好き」だなんて言われたことないよ。
それにずっと拘っている私はおかしいのかな。
欲張りだろうか。
わがままなんだろうか。
だんだんと視界が滲んでくる。
耐えきれずに、律くんから目を逸らした直後、
「泣くほど辛いならもうやめる?」
「え……?」
「そんな顔させるつもりなかったけど」
やめるって……なに……?
律くんが吐き出した言葉に、手のひらが途端に冷えていく。