【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
ぜんぶ欲しい
教室に着くと、みんなはもう既に打ち上げムード一色になっていた。
机には、ジュースが置かれていて、どうやら山神様の差し入れらしい。
みんなで成功を喜びあって、山神様も仏のような顔をしていた……。
「玲来。今日劇をやって思ったんだけどさ、俺、俳優目指そうかと思う」
「……俳優なめてるでしょ」
そんないつも通り仲のいい二人の様子に、自然と笑顔になった。
「俺が監督で、西宮、お前が主役だ! 一生の思い出になるぞ!」
バンバンッ!と背中を叩かれてジュースを吹き出しそうになる……。
けど、あの山神様から評価されるのは素直に嬉しい。
賑やかな教室内。
お祭りかってくらい騒がしい。
そんな中でも私の視線は、やっぱりたったひとりに向けられていて……。