【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「こんなに走ったの人生初。しかも全力疾走。息切れやばい……」
私の腕を掴んだまま呼吸を整える律くんを、ポカンと口を開けて見ているしかなくて。
「芽衣が俺を走らせたんでしょ?」
「私が……って言われても、わかんないよ……」
「ダメ」
「わっ……!?」
掴んだ腕を強引に自分の方へと引き寄せて、私を腕の中に閉じ込めた。
「わかんないはダメ。ぜんぶ知って、俺のこと」
吐息混じりに落とされた律くんの声は、いつになく真剣だった。