【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「組の人間って、その……私とは間違っても関わることのないようなあちらの世界の?」
「どちらの世界よ……。まぁ、そうだけど。元ね!?」
「な、なるほど……」
落ち着こう。
あちらの世界という言い方は失礼かもだけど、そういった環境で育ったのなら怖いもの知らずって感じの態度も納得出来るかも。
山神様のことだって「山ちゃーん」なんて呼べるのは唯一、矢坂くんだけだし。
「誤解されることもあるかもしれないけど、ああ見えていい奴なのよ。困ってる人はほっとけなかったり、バイトが終わるわたしのことも待っててくれたり……」
玲来ちゃんの横顔が僅かに緩んで、優しくなっていく。