【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「ん?」
付き合って三ヶ月。
相合傘っていうベタなシチュエーションだけれど、憧れていた出来事が起ころうとしているわけで。
目が合った律くんからそっと地面に視線を逃がした。
律くんの口から「俺の傘入んなよ」って言葉が出てくるのを待つ。
そろそろかな……?
数秒経ったけど、塩対応の律くんのことだから、すぐには出てこないだけなのかも。
「……」
………あれ?
何も起こらない。
痺れを切らして顔を上げてみれば、
「えっ?」
数歩先に律くんが立っている。
あの、なぜ……?
「律くん!?」
「何してんの? 早く帰るよ」
「っ!?」
いやいや……傘のない彼女を置いてきぼりにしてサイレントに離れる彼氏なんている?