【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「もう帰んな? 傘貸すから」
「うぅ……」
そりゃ散々付き合わせてしまって、ティラミスまんまでもらって、これ以上わがままを言うつもりはないけれど。
律くんだって必要以上にエネルギーを使いたくないわけだし。
だけど、そんな言い方しなくても……。
「言わなきゃわかんない?」
「い……言わなくていいよ……もう帰るもんっ」
ごめんね、と小さく漏らして、顔を背けた。
そして律くんの傘の中から飛び出そうとした瞬間、
「待って」
律くんの手が頭の後ろに回されて、グイッと顔を引き戻された。