【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
ドキッ……。
こんな状況でも私の心臓は素直に律くんに反応するから嫌だ。
「俺もわかる」
「え……?」
「でもお前は言わなきゃわかんないだろ?」
なんのこと?と聞き返そうとしたけれど、それよりも早く律くんの手が私の頬をそっと撫でた。
律くんの左手は熱を含んでいて、触れられた部分が温かくなる。
「大事な彼女を風邪引かせたくないからってわかってほしいんだけど」
「っ!?」
「ほら。その顔。やっぱ言わなきゃわかんないでしょ」
たった一瞬だけど、クスッと小さく笑った律くんに、私は目が離せなくなる。