【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「え?」
自然と顔を上げた私は目を大きくした。
だって、そこには雑誌から飛び出してきたって言っても大袈裟ではないくらいのイケメン男子が立ってるんだもん。
それこそ私の歴史を塗り替えるほど。
「その制服って西中?」
「……そう、ですけど」
ぎこちなく答える私の顔を覗き込むイケメン男子は、東中の制服だった。
何度か見たことがあるからすぐにわかったのだ。
「入試?」
こくり、と小さく頷いて鼻を啜った。
「俺も」
「あなたも、ですか……?」
「そ。乗り遅れたら終わるけど」
顔色ひとつ変えずに、彼は気だるげな瞳で言った。
なんて呑気な人なんだろう……。
私と同じバスに乗り遅れたら、入試は受けられないっていうのに。
焦る素振りさえ見せないんだもん。