【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます


校舎内で律くんを見かける度にドキドキして、


「今日は走んないの?」


「っ、」


不意に声をかけられた時は、まるで心臓がおかしくなったんじゃないかって心配になるくらいで。

何度も戸惑って、でも嬉しくて……。


一年生のうちは学校生活に慣れることに必死だった。

中学よりも広い校舎内を慌ただしく走っていたせいか、その頃から山神様に目をつけられていた私。


「落ち着きある行動をしていくことを心がけてだな──」


廊下で叱られることも度々で、律くんに見られて恥ずかしくなった。


「いつも走ってんね?」


それでも声をかけてもらえるきっかけが出来て、どんどん惹かれていったのは私の方だった。
< 80 / 391 >

この作品をシェア

pagetop