【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「ありがとう……」
二人きりの帰り道。
ものすごい緊張で、聞こえていたかはわからない。
隣を歩く度に胸が高鳴って、律くんの髪が揺れる姿にさえいちいち目を奪われていた。
私の家のそばまで来たところで、意を決して口を開いた。
「わざわざ本当にありがとう! あの、もし……今日のこと誰かに見られてて……ウワサになっちゃったら、私からしっかり説明しておくからね!」
言えた……!!
「ウワサ?」
「う……うんっ! 律くんはカッコいいって女子が騒いでるし、すごいモテるから……だから誤解されな……」
「だからって、俺のことが好きなわけじゃないよ」
誤解されないように、と最後まで言い終えないうちに遮られた。
「え?」
「目の保養。そんなもんだろ」
なんて無気力な声。