【完】無気力ですが、ベタ惚れ彼氏の溺愛方法に困ってます
「通夜会場に来たみたいな空気だな……」
寒さのせいで一気に目が覚めたらしい律くんは、頬杖をついて私を見ている。
ちょっと呆れ顔。
でも、私はそんな顔も好きなわけで。
「食べないの?」
古い机の上にはクリームサンドとチョココロネがある。
これは「羽川……昨日の件だが、わかってるな?」と、律くんが矢坂くんからもらった口止めという名の賄賂(わいろ)らしい。
「甘いの好きだろ?」
つん、と私の頬っぺたをつついてくる律くんにドキッと反応しちゃう。
甘いものが好きだって言った記憶はないけれど、昨日のティラミスまんの件を覚えているからそう言ってくれたのかな。
素直に嬉しいのに、今は何から切り出したらいいんだろうってモヤモヤしてしまう。