翠玉の監察医 ナイトメア
トメのご遺族に桜木刑事が話を聞いたところ、トメは癌を患ってはいたものの、心臓に疾患はなかったという。

「確かに、こんなに心不全で亡くなる人がいるのは不自然ですよね」

圭介の言葉に蘭はゼルダのお見舞いに行った時のことを思い出す。あの時も心不全で誰か亡くなっていた。

「今、トメさんの血液を検査に回しています。血液検査の結果でも事件性があるかどうか変わってくるかと」

蘭はそう言い、エメラルドのブローチに触れる。

数時間後、トメの血液検査の結果が送られてきた。トメの血液からは通常ではあり得ないほどの数値の塩化カリウムが検出された。塩化カリウムは注射薬として医療現場で使われているが、使い方を誤れば心停止や不整脈を引き起こしてしまう。

「殺人で決まりだな」

桜木刑事はそう言い、捜査をするために警視庁へ戻っていく。監察医である蘭たちの仕事はここまでだ。

蘭は報告書を書き始めた。




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