翠玉の監察医 ナイトメア

「僕は、ここで解剖された春川トメの孫で将暉（まさき）と言います。祖母の解剖結果についてお聞きしたくて……。教えていただけませんか？」

深く将暉は頭を下げ、圭介が慌てて「頭を上げてください！」と言う。しかし蘭は慌てることもなくいつものように言った。

「では、ご一緒にお食事をしながらどうでしょうか？」

蘭の提案に圭介は驚き、将暉は「よろしいんですか？」と顔を上げる。蘭は「はい」と頷き、車の鍵を開けた。



圭介の案内で到着した魚料理店に蘭たちは入店する。店内にはお酒を楽しむスーツ姿の大人が大勢いた。

「ごゆっくりどうぞ」

落ち着いた雰囲気の個室に案内され、蘭たちはそれぞれ刺身定食やタコの唐揚げなどを注文する。そして料理が来るまでの間、蘭は解剖結果について話すことにした。

「まず、トメさんの死因ですが心不全でお亡くなりになりました」

「はい。それは病院でも聞きました。ですが、祖母は心臓はどこも悪くなんてないんです。入院前にした心臓の検査でも問題なかったんです！」