翠玉の監察医 ナイトメア

「お〜い、蘭！」

「圭介も来てくれたのか」

後ろから声をかけられ、蘭と圭介は振り返る。アメリカ人監察医のアーサー・スチュアートとスウェーデン監察医のマルティン・スカルスガルドが立っていた。その手にはお見舞いのために買ったのであろう紙袋がある。

「ゼルダがいないと不思議な感じだな。ムードメーカー的存在だから尚更」

マルティンがそう言い、圭介が「確かにいつもより研究所内が静かでした」と笑いながら答える。ゼルダの明るい声がないとどこか部屋の中が寂しい気がした。

「ゼルダも皆さんも、法医学研究所に必要な人なんです。きっと、誰が欠けてもいけない。法医学研究所は皆さんがいることで動いていくんだと思います」

蘭はそう言い、優しく微笑む。しかしその笑みには寂しさもある。蘭の両手はゼルダたちとは違い、汚れてしまっている。こんな自分など仲間だと胸を張って言う権利はない、そう蘭は思っているのだ。

「蘭も欠けちゃダメだからな！」