翠玉の監察医 ナイトメア

将暉は強い目で蘭と圭介を見つめる。蘭は水を一口飲み、続けた。

「私たちはトメさんの血液を調べました。その結果、通常ではあり得ないほどの塩化カリウムが検出されたんです」

「これは故意に何者かが塩化カリウムをためさんに注射し、心不全を引き起こさせたということになります」

圭介の言葉に将暉が「そんな……」と両手で顔を覆う。その時、「お待たせしました〜！」と元気よく店員が個室に入ってきた。その手には刺身定食など蘭たちが注文したものがある。

「うわぁ！おいしそうです！」

圭介が暗い空気を吹き飛ばすためかわざと明るく言う。蘭は目の前に置かれた定食を見つめた。立派な鯛やはまちなどの刺身が芸術作品のように並べられている。

「……おいしい」

刺身やタコの唐揚げを食べた将暉はポツリと言う。そして「ばあちゃんも好きだったんです、魚料理」と懐かしそうに言った。

「ばあちゃんの作る魚料理は何でもおいしくて、俺はよく食べていたんです。本当においしかった……」