翠玉の監察医 ナイトメア
将暉と会ってからさらに数日。ゼルダが退院し、世界法医学研究所に姿を見せた。
「ご心配とご迷惑をおかけしてすみませんでした。今日からまたバリバリ働けます!これ、お詫びのケーキです」
ゼルダが手作りで持ってきてくれたのは、「黒い森のさくらんぼ酒ケーキ」という意味を持つシュヴァルツヴェルダーキルシュトルテだ。ココアのスポンジにさくらんぼ酒をふりかけ、間にホイップクリームとさくらんぼを挟む。最後に表面を削ったチョコレートで飾って完成だ。
「うまそう〜!」
「おいしそうだな」
アーサーとマルティンが目を輝かせながらナイフや皿を用意し始める。碧子も「今日は解剖もありませんし、少しゼルダの復活祝いでもしましょうか」と微笑んだ。
「せっかくだし、桜木刑事も食べてください!」
ゼルダがたまたま研究所に来ていた桜木刑事に言い、桜木刑事は「やった〜!甘いもの!」と笑う。その様子を見て圭介は笑い出し、蘭は穏やかな目でこの光景を見つめていた。