翠玉の監察医 ナイトメア

「黙れ……。黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れぇぇぇぇ！！」

将暉の両目から涙があふれ出す。ゼエハアと息を荒げながら将暉は言った。

「確かに、老人を厄介者扱いする奴はいる。でも！！中には大切な家族の一員として大切に想っている家族もいるんだよ！！なのに他人のお前が壊しやがったんだ！！」

「おいおい、俺はあのババアの主治医なんだぞ？そんな口の利き方をしていいと思っているのか？」

銃を発砲されることはないと思ったのか、論から恐怖が消えていく。横暴な姿を見せ始めた。

「……ばあちゃんに謝らないつもりか？」

「当たり前だろ？俺はみんなが望むことをしてやったんだから」

発砲する、そう蘭は感じた。蘭だけでなく多くの人間が察しただろう。蘭は人混みをかき分け、将暉に言う。

「春川さん！そんなことをしてもトメさんは戻ってきません。争いと悲しみの連鎖を生むだけです」

蘭の玲瓏な声が響き、将暉はチラリと蘭を見つめる。そしてフッと優しく微笑んだ。

「だからだよ。もう失うものなんて何もないんだ」