翠玉の監察医 ナイトメア
蘭の心を見透かしたのか、アーサーが蘭の頭を優しく撫でる。蘭が顔を上げると、マルティンと圭介も優しい目をしていた。

「蘭だって立派な監察医で俺たちの仲間だ」とマルティン。

「神楽さんがご遺体やご遺族の方としっかり向き合っているの、監察医でない俺にだってきちんと伝わっています!神楽さんは立派な法医学研究所の一員です!」と圭介。

三人の優しい言葉に蘭はそっと胸元に付いているエメラルドのブローチに触れ、「ありがとうございます」と微笑む。場に穏やかな空気が流れた。

「そういえばさ〜」

アーサーが圭介をジッと見つめる。否、圭介ではない。圭介の手にあるマリーゴールドの花束を見つめているのだ。

「その花束、どうしたの?」

アーサーの問いに圭介は少し恥ずかしそうに頬をかきながら答える。

「神楽さんと選んだんです。ゼルダさんはマリーゴールドがお好きだと聞いたので、早く元気になってほしいと思って……」
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