翠玉の監察医 ナイトメア

「いや、彼氏が彼女へプレゼントするみたいだなって思って」

アーサーがどこかからかうように言い、圭介は「なっ！？」と顔を赤くする。笑っていたアーサーは「こら、からかうな」とマルティンに小突かれていた。

「でもとてもお似合いだと思います」

蘭は素直に思ったことを口にする。圭介とゼルダは仲が良く、よく話している。明るくて優しい先輩と、しっかり者で頼りがいのある後輩という雰囲気が二人からはあった。

「か、神楽さんまで！！俺はゼルダさんにそういう気持ちはないですよ！？」

顔を真っ赤にしながら圭介は言う。彼の想い人は違う人だ。その人は風に黒髪を揺らし、ブローチを握り締めている。

四人はゼルダの入院している病室へと向かった。



病室まで蘭たちは看護助手に案内してもらう。ゼルダが入院している部屋は個室ではなく相部屋だ。ネームプレートには明らかにお年寄りであろう名前がある。

「失礼します」

蘭がドアをノックし、開けた。ふわりと独特の匂いが漂う。