あなたの願い、残酷に叶えます。
それを見下ろすと布を被っているのが見えた。


「こんなものでごまかしやがって」


ギリギリと歯ぎしりをして女の横に膝をつく。


タブレットの画面では紗弓が心配そうな顔をこちらへ向けていた。


大丈夫だよ紗弓。


紗弓のことはあたしが守ってあげるから。


1年生のあの日、そう決めたんだから。


ね、だから大丈夫……。


あたしは女の顔にかぶせられている布に手を伸ばした。


触れるとそれは少し湿っていて、気持ちが悪い。


それでも勇気を出して、その布をはぎ取った……。


瞬間。


目が合った。


その瞬間、マンガならバチリと書かれていただろう。


女はあたしを見ていた。


あたしも女を見ていた。


ただそれだけのことだったのに、あたしの頭は真っ白になっていた。


なにも考えられない。


ただただ女を見つめる。


その時間が一秒進むごとに自分の心臓が激しく鼓動し始める。
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