あなたの願い、残酷に叶えます。
家に戻るとあたしは1人だった。


あたしと同じでとても綺麗だったお母さんは3年前に外に男を作って出ていった。


その時からあたしはお父さんと2人暮らしだ。


「悪い里奈。明日から出張なんだ」


朝ごはんの席でお父さんが申し訳なさそうに言った。


「そうなんだ。どのくらいかかるの?」


あたしは自分で作った目玉焼きをつつきながら聞く。


「一ヶ月くらいかな。できるだけ早く戻るようにする」


「あたしのことは気にしなくていいよ。もう高校生なんだから」


大学への推薦枠だって自分の力で勝ち取った。


成績だって、生活態度だって、自分の力でどうにでもなる。


お父さんが心配するようなことはなにもなかった。


「そうか、悪いな」


そして予定通り、お父さんは出張に出かけていった。


そう、あたしの家には誰もいなくなった。


そしてオンライン授業が始まることが決まったのだ。


だけどその前に、あたしの前に女が現れていた。


顔を布で覆い隠した、白いワンピースを着た女。


「誰?」
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