あなたの願い、残酷に叶えます。
女は布の奥で呟くように歌を囁く。


「やめてよ……来ないで!」


あたしは叫びながらその場にズルズルと座り込んでいた。


部屋は息が白くなるほど室温が下がっている。


願いを叶えにやってきました……。


願いを叶えにやってきました……。


残酷に、殺すために、やってきました。


え……?


次の瞬間、腹部に衝撃が走っていた。


その衝撃の正体を探る前に、女が何かを持ち上げるのを見た。


ピンク色をした柔らかそうな、長い紐。


それが自分の大腸だと気がついたのは、その紐があたしの腹部につながっていたからだった。


さっき感じた衝撃は、女があたしの腹部に手を突っ込んだ衝撃だったのだ。


「あ……」


口の端から血があふれ出した。
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