あなたの願い、残酷に叶えます。
「で、それがどうかした?」


「あたしたちライバルだよね?」


「そうなるよな」


景子の目は射るように俺を見つめている。


その強い視線から逃れたくなる。


「あたしは紗弓の笑顔を守りたいと思ってる」


それは俺も同感だった。


素直に頷く。


「だから、あたしたちは2人で紗弓を守るの」


景子からの提案に俺は瞬きをした。


「2人で?」


「そう。たとえば航大が紗弓と付き合いはじめたら、あたしは紗弓の親友であることをやめる。紗弓はどう感じると思う?」


「そんなの、悲しがるだろ」


1年生のころ、失恋した紗弓を慰めて笑顔を取り戻させたのは景子だった。


その景子が離れて行けば紗弓は悲しいに決まっている。


「だよね。だから航大は紗弓と付き合えない」


その言葉に俺は絶句してしまった。


そしてそういうことかと納得する。

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