あなたの願い、残酷に叶えます。
俺と紗弓が付き合えば景子は紗弓から遠ざかる。


すると紗弓が悲しがる。


だから俺は紗弓と付き合うことができない。


俺は大きく息を吐きだした。


「それは卑怯だぞ」


「なんとでも言って。あたしは女だから、紗弓と付き合うことはできないから、これくらいのことはさせてもらう」


景子は意地の悪い笑顔を浮かべてそう言い放った。


好きな人と絶対に結ばれることはない。


そう分かっていて好きで居続けることは結構キツイかもしれないな。


俺は内心そんなことを考えた。


景子は女であることですでに恋愛にハンデを持っている。


だけど俺は真っ向勝負を仕掛けることができる。


景子からすれば、卑怯な手を使うことしか思いつかなかったのかもしれない。


「紗弓に告白する気は?」


意地悪をされたので、意地悪な質問を投げてやった。


一瞬景子はしかめっ面をする。


そして俺から視線をそらせた。


「あたしとあんたは紗弓に気持ちを伝えない。これで決まりだからね」


景子は俺の質問に返事はせず、立ち去っていったのだった。
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