あなたの願い、残酷に叶えます。
「あの女は里奈の人生をめちゃくちゃにする。あたしたちでどうにかしなきゃ!」


「どうにかって言っても、どうするんだよ?」


確かに里奈にはいい噂がなかった。


あの美貌を使って男子生徒や先生を手玉に取り、学校生活を謳歌している。


外では少しヤバイ男たちの仲間もいるという噂で、俺たち一般の生徒は近寄りがたい存在だった。


「次の休みの日、時間ある?」


「あぁ、あるけど?」


「紗弓に呼ばれてるの。きっと、里奈のことで相談とか愚痴とか言いたいんだと思う。航大も来るでしょう?」


景子の言葉に俺は目を見開いた。


「俺も行ってもいいのか?」


こう見えても俺と景子はライバルだ。


景子が紗弓からの相談を受けたのに、俺を誘ってくるとは思っていなかった。


「紗弓の人生がかかってるんだよ。そんなこと言ってる場合じゃない」


「そっか、それもそうだな」


答えながら、紗弓の家にお邪魔できるのだと思うと気持ちが弾んだ。


ここでなにかいいヒントを紗弓に与えることができれば、俺へと気持ちが傾いてくるんじゃないか?


これはチャンスだ。


景子には悪いけれど、やっぱり俺は自分の気持ちを抑えていることはできない。


「よし、一緒に行こう」


俺は力強くそう答えたのだった。
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