あなたの願い、残酷に叶えます。
☆☆☆

現在。


儀式なんてどうせ偽物だと思っていた。


でもあれは本物だったんだ。


なにもかもが現実になってしまった。


そして俺たちは残酷様を帰すのに失敗してしまった。


「俺が、イケニエになる」


画面の中の紗弓を見つめて言った。


怯えている紗弓を見ていると、自然とその言葉が口から出てきたのだ。


「え、何言ってるの?」


紗弓は目を見開いて聞き返す。


「俺がイケニエになれば、残酷様は帰ってくれるかもしれない。なんせ、俺が紗弓に残酷様をすればいいって言ったんだから」


言いながら自分自身の言葉に納得していた。


そうだよな。


元はと言えば俺が残酷様をすればいいと思ったんだ。


こうなったのは俺のせいだ。


それなら、俺自身がイケニエになれば、きっと残酷様は満足して帰ってくれる。


紗弓だけは助けることができるんだ。


「待ってよ、イケニエの真美を捧げてもダメだったでしょう?」


「あぁ。24時間が過ぎてたからな。でも、もう一人イケニエと奉げればなにか変わるかもしれないだろ」


「そんな……」


紗弓は青ざめてはいるけれど悩んでいるのがわかった。


俺がイケニエになることで自分が助かるならと、希望を抱いているのがわかる。
< 135 / 244 >

この作品をシェア

pagetop