あなたの願い、残酷に叶えます。
「紗弓。俺のことは大丈夫だから、あの言葉を言って」


イケニエを捧げるための言葉。


真美の時、真美以外の生きていた全員がお経のように口にした言葉。


紗弓の目は揺れている。


どうすればいいかわからない様子だ。


「大丈夫、心配しないで」


俺は穏やかな口調で言った。


紗弓を安心させるためだったけれど、その声を出していると、なんだか自分自身も安心してきた。


俺は紗弓のために死ぬんだ。


好きな子を守って死ぬ。


それはとても名誉なことだ。


なにも怖いことはない。


自然と笑顔まで浮かべていた。


「本気……なんだね?」


「もちろんだ」


俺は紗弓の質問に即答する。
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