あなたの願い、残酷に叶えます。
こうして大智とちゃんと会話をするのは、別れて以来初めてのことだった。


なんとなく緊張して、背筋も伸びてしまう。


「1年のころはごめんな」


不意に言われて、あたしは返事に困ってしまった。


もう2年も前のことだし、今さら謝られるとは思っていなかった。


もしもあの時、大智の浮気が発覚したタイミングで、もっと泣いてすがりついていればよかったのかなと思ったことは何度でもあった。


でも、今はもう違う。


時間が経過しすぎた。


「ううん」


あたしはそう言って左右に首を振り、大智を許した。


そうするしか方法はなかったから。


今さら過去をほじくり返して攻め立てるようなことをして、誰が喜ぶだろうか。


大智はきっと困るだろうし、はたから見ても滑稽なだけだ。


「里奈とは別れたよ」


「え?」


大智の言葉にあたしは一瞬頭の中が真っ白になった。


目を丸くして大智を見つめる。
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