あなたの願い、残酷に叶えます。
あたしと別れた後大智と里奈がどうなったかなんて、聞きたくなかった。


だから2人のことはなにも知らなかったのだ。


「2年生に上がってから、いきなり振られた」


そう言って、大智は苦笑いを浮かべた。


「そうなんだ……」


あたしはなんと返事をすればいいかわからなくて、コーヒーを見つめる。


「他に男ができたんだって」


大智の言葉にあたしは小さく息を吐きだした。


里奈らしいなと思った。


同時に、大智はどうしてあたしにそんな話をするのだとうと疑問が浮かんできた。


「別れたくなって言ったんだけど、ダメだった。あいつ、デートの日にその男を連れてきたんだ」


想像して、胸のあたりが重たくなるのがわかった。


なかなか別れてくれない大智に里奈がやりそうなことだった。


次の男を大智に見せて、諦めさせたんだろう。


相変わらず卑怯なやり方だ。
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