あなたの願い、残酷に叶えます。
里奈がいつ頃からその大学生と付き合っていたのかはわからない。


でも、二股期間があったということは事実だ。


あたしは急に目の前にいる大智が不憫に感じられた。


どうにかして助けてあげたいと思ってしまう。


あたしたちは同じ里奈という敵を持っている。


2人ならなにか復讐ができるんじゃないか、なんて……。


「俺、里奈を殺したい」


誰の声か、一瞬わからなかった。


あたしは唖然をして大智を見つめる。


「里奈さえいなければ、俺、今だって紗弓のこと……」


それが都合のいい言葉だということはわかっていた。


わかっていたけれど、守りたいと思ってしまった。


昔ずっと好きだった男だ。


この男のためにあたしは寝る間も惜しんで必死に勉強をしてきたんだ。


そんな、過去の出来事が蘇ってきてしまった。
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