あなたの願い、残酷に叶えます。
校舎に入った瞬間、あたしは立ち止まってその光景に唖然としていた。


学校内の景色はあたしの知っているものとは違った。


街の景色は綿密に再現されているのに、ここだけ手抜きをしている感じだ。


あたしはゴクリと唾を飲み込んで廊下を歩く。


左右にズラリと並んでいる教室のプレートに視線を向けると、自然と呼吸が荒くなっていくのを感じた。


3年B組。


3年B組。


3年B組。


3年B組。


行けども行けども、左右に並んでいる教室は3年B組ばかりなのだ。


あたしは知らない間に早足になって廊下を駆け抜けていた。


一番奥まで来て、階段を駆け上がる。


2階もまた同じだった。


3年B組。


3年B組。


3年B組。


自分たちのクラスしか存在しない空間に、足元から力が抜けていくのを感じる。
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