あなたの願い、残酷に叶えます。
幸いにも机の中からカッターナイフを見つけた。


それはあたしが無くしてしまったと思っていたもので、机の奥の方に入り込んでいたみたいだ。


カチカチと音を立てて刃を伸ばしていく。


これで少しは時間稼ぎができるはずだ。


あたしは両手でカッターを握り締めて、ドアへと進んでいく。


残酷様はさっき右から左へと通り過ぎて行った。


ということは戻ってくるときには左から右へだ。


階段はあたしから見て左手の奥にしかないから、もう一度右から出現することはあり得ない。


そう思った時、違和感が胸を刺激した。


え、あたし、今、なんて?


考えるよりも先に足音が聞こえてきて息を殺した。


身を低くして廊下の様子をうかがう。


残酷様の影が右から左へと通り過ぎていく。
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