あなたの願い、残酷に叶えます。
その瞬間背中に冷や汗が流れていった。


今自分で考えていたことだ。


階段は向かって左手にしかない。


だから右から出現するはずがないと……。


それなのに今、影は右から左へと歩いて行った。


最初のときもそうだ。


右から左に歩いて行った。


でもそれはあり得ない。


もし右から歩いて来ようと思ったら、一旦この教室を通り過ぎて戻ってこなければならないのだから。


でもあたしはその姿は見ていない。


右から左に歩く影しか、見ていない。


その瞬間あたしは気がついた。


相手はあたしがここに隠れていると気がついている……?


気がついていて、わかっていて、遊んでいるのだ。


考えている間にも2度、右から左へと影が通り過ぎて行った。


あり得ない。


こんなのあり得ない!


必死で頭を振ってみるけれど、それで現状が変化するわけでもない。
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