あなたの願い、残酷に叶えます。
影が通り過ぎていくペースはどんどん速くなっていく。


その度に足音は幾重にも重なり合っていく。


まるで残酷様が何人もいるように、列をなして歩いている。


あたしはその場にうずくまり、両手で頭を抱えた。


「もうやめて……!」


耳をふさぎ、目を閉じて叫ぶ。


「あたしが悪かったの! 残酷様をやろうなんって言ったから!」


ううん、本当にそうなのかな?


あたしは里奈を殺したいなんて思っていなかった。


殺したいと言ったのは大智だった。


あたしは残酷様をやろうなんて思っていなかった。


提案してきたのは航大だった。


賛成したのは翔と景子で、それなら真美をイケニエにということになった。


そうしたら充男が勝手についてきて、結局6人で残酷様をした。


誰も、里奈を殺すと願うことを、止めなかった……。
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