あなたの願い、残酷に叶えます。
☆☆☆

俺と里奈が破局したことを残念がる男なんて誰もいない。


里奈がフリーになったと喜ぶヤツらばかりだった。


俺はうんざりした気分で「里奈にはもう新しい男がいる」と、そいつらに伝えた。


そいつらはガッカリした顔を浮かべるが、でも実際は里奈と付き合えるなんて思っていないから、それほどのショックは受けていないのだ。


俺みたいに、殺したいなんて思っていないんだ。


そんな重たい感情を抱えたまま3年生になってしまった。


正直、自分がこれほど里奈をひきずるとは思っていなかった。


だって俺自身、里奈と同じようなことをして紗弓と別れていたから。


2年生のころ、俺は里奈に誘惑された。


「カッコイイね」とか「好き」とか。


あんな美人にそんな風に言われてなびかない男はいないんじゃないかと思う。


で、俺もコロッとなびてしまった。


紗弓と付き合っていたのに。


ほんの数日間だけど、二股のような形になってしまった。
< 171 / 244 >

この作品をシェア

pagetop