あなたの願い、残酷に叶えます。
そんなある日のこと。


俺は偶然紗弓を道端でバッタリ会うことになった。


そこで試しに里奈と別れたことを伝えると、紗弓は素直に驚いた顔をした。


やっぱりなにも知らなかったみたいだ。


里奈の話しをしている間に、どんどんあの時の屈辱的な感情が蘇ってきた。


もういい加減忘れてしまおうと思ったのだけれど、どうもうまくいかない。


だから今だけ。


少しだけ紗弓に愚痴ってしまった。


「殺したい」と……。


今まで誰にも言わなかった言葉も口にした。


紗弓は大きな目を更に大きくしていた。


でもこれで俺の気持ちはスッキリした。


里奈のことを忘れて、前に向けるだろう。


紗弓が話を聞いてくれたおかげだ。


……そう。


あの時俺は紗弓の気持ちに気がついていなかった。


また、やらかしてしまったんだ。


「殺したい」


その言葉を紗弓がずっと、考え続けていたなんて……。
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