あなたの願い、残酷に叶えます。
嫌な汗が背中を流れていく。


俺は机に用意しておいたコップの水を一口飲んで椅子に戻った。


落ちつけ。


こんなことはあり得ない。


部屋から出られなくて、誰にも連絡が取れないなんて。


俺はタブレットを操作して、そこから外に連絡を取ろうとした。


「なんで動かないんだよ!」


タブレットはいくら触れてみても、画面が変わらなかった。


相変わらず焦っている6人を表示し続けるばかりだ。


俺は自分の頭をかきむしり、そして机を拳で殴りつけた。


コップの中の水が微かにこぼれる。


「誰か気がついてくれ! 俺もここにいる!」


だけどやっぱり誰も気がつかない。


俺はジッと紗弓を見つめた。


頼むよ紗弓。


俺に気がついてくれよ。


懇願するようにジッと見つめるが、紗弓は俺に気がつかない。


どうして……。


ただ、俺は画面を見ていることしかできなかった。
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